かもつぶ。

かものはしのつぶやきなので、かもつぶ。

ほとらぴからっと忍ばずの池

ほとらもぴからも蛍のことだそうだ。
佳村萠と張紅陽の二人を最低限にして最大……何人だ?(笑)のユニットです。
佳村萠さんは映画「夢見るように眠りたい」で主演を演じた、女優さんでした。
現在は絵を描いていたり、音楽やったりしております。
この映画の頃に張紅陽と出会い、こうしてほとらぴからっをやっているわけです。
張紅陽はこまっちゃクレヅマーなんかにも参加してますが、最近よく見るのはやっぱりめいなCo.名義での映画音楽ですね。『GO』なんかそうです。


新宿にあるナジャという飲み屋にてライヴ。
ナジャは、唐十郎の紅テントで役者から入って後に音楽を作っている安保由夫さんのお店。 ナジャの土曜日と称して、土曜ごとに映画やったりライヴやったりしているようです。で、実は知らなかったんだが、すでにこのライヴも数回やっているそうで。 佐野史郎原マスミ林海象といったところが登場とのこと。 いいお店だなあ。
今回はそしてほとらぴからっだったというわけ。


ほとらの音楽はポップにしてしかし、13拍とかね、ヘンテコな拍子がフツーにあるんでおもしろい。ムリな変拍子ではなくて、音楽の気持ちと一緒にあるので、聞いている方はイヤじゃない。数えるとイヤだけれど(笑/ってことは演奏する人は大変?)、聞いてると心地よし。
しかし。
貴重なものも聞きました。
安保さんのテントや新宿梁山泊で作った劇中歌の数々。あははは。
ちなみに、安保さんの歌った状況劇場二都物語」は私のトラウマでござる。


それが「二都物語」だと知ったのはほんとに数年前だったのでした。カメラマンの井出情児さんと話していて、井出さんは元は役者、それもやはり紅テント初期のメンバーでもあるのでした。で、話してたら
「それ、「二都物語」だよ」と教えてくれたんでした。

まだ小学生。それも低学年のとき。ある日。母が
「上野のお池にお芝居、見に行こう」とのたもうたのでした。
上野公園。ボート乗り場の桟橋の先に、真四角なはしけが浮いてまして。それ、客席でした。


夕暮れとともにせむし男が登場。鐘を鳴らして歩きます。
すると。
それまでどこにいたのかわからない半裸の男たちが、池から机やら椅子やらタンスやらをかついで出てくるんでした。


正直言って、一桁の年頃の子供にはオカルト以外のなんでもありません。半泣き。あんな恐かったことはありませんって。だいたいこの人たち今までどこにいたの〜????ですよ。
「あー、それ開演前から池の中にいたんだよ」と井出さん。
げっ。やっぱりコワイ。

あのボート乗り場の岬のように出っ張った桟橋を挟んで
右と左とが二つの都。今でいう北と南。大陸のお話なんだそうで、そんなこと、その頃知らんで、わし。子供だもん。
んで。
夕べ、安保由夫さんが歌ったのを35年ぶりぐらいに聞いたのに、歌が記憶に残っていた〜こわかった〜ひぃいいい。

アングラはヤダ。と、子供心に思ったんでした。
が。
その数年後、母はまたしても言ったのでした。
「今日は青山にお芝居見に行くよ」
………イヤな予感。

行ってみれば予感的中。それは青山墓地だったんでした。
墓地の真ん中にテントがあって。あー、またこの人たちです。
コワイ。これまた半泣き。
おかげで最初のセリフ(だと思うが何せ記憶だけなんで違ってたらすいません)を覚えてます。

「僕はカッパになる。そう言ったきり兄は3年帰ってきません」

アングラはイヤだ。コワイ。
すっかりカモノハシのトラウマになってしまったんでした。
あー……。