かもつぶ。

かものはしのつぶやきなので、かもつぶ。

お祭りに行く特急は車内もお祭り騒ぎさ

「フェスティバル・エクスプレス」を見に行ったんでした。

Yeah!
試写会場なのがツラかった。
YEAH!! ってなもんです。声、出てました。おさえてました。
アメリカの映画館だったら、ヤンヤ、ヤンヤの喝采ではなかろうか。
それぐらい、収録されてる演奏がいいんです。


1970年のカナダ。
カモもそうですが、ロック少年少女がこれまでザ・バンドの本やらジャニスの伝記やら読むと必ず出てきた電車で行ったフェスティバルの話。
あの映像が残っていたなんて!
それだけでファンとしては感無量です。
それが、なんとこんなにいい状態だったなんて! 奇跡だ。
1回じゃ、ファンなんで見切れません。
だって、映像のアチコチに演奏シーンがないのに「なんでいるんだ?」ってな顔がいて。
たとえばデラニー&ボニー。
たとえばインタビューにも登場するけれどエリック・アンダーソン。
一瞬、ライヴで映るエイモス・ギャレット。
あいや〜、フライング・ブリトーで歌ってんの、後々イーグルスじゃん。
あれ?マウンテンのギターいるぞ〜。
などなどなどなど。


やっぱりね、レイルロード・ムーヴィーだからね、
オープニングはデッドの「ケイシー・ジョーンズ」だね。
汽車の歌だものね。演奏じゃないんだけれど、もうこの1曲目で
「おっ、これ、いい映画だ」って分かってしまう。
だって、この曲持ってきただけで、作ったヤツが「わかってるなあ」ってなもんです。


しかし。
ほんっとにうれしい。
リック・ダンコとジャニスとガルシアとボブ・ウィアと並んで、ベロンベロンになりながら、それでもセッションしてる。寝ても覚めても酔ってもラリっても片手にギター、唇には歌。音楽ってこういう場所から新しいものが生まれてくるんだ。それがここに残ってる。


興味深いのはデッド。なるほど、もうこの後のあのアメリカを旅して回るスタイルが、彼等の中では確立されてるんだろうな。だから自信にあふれてる。ちょうど「ワーキンマンズ・デッド」の頃だしね。そしてジャニスはこの後、数カ月で亡くなるんだ。


ジャニスの歌は、息、できません。
やっぱり「テル・ママ」のあの咆哮の瞬間に、もう息とまります。心臓がバクバクする。スクリーンからボーカルの風圧がやってくる。この最後のバンド、いいバンドだったんだ。わりと好きだった。ジャニスの伝記映画のサントラで、彼らのヴァージョンの演奏とか入っていて、いいのがあったもの。


「車両ごとにカントリー、ブルース、ロックとやってた」みたいなコメントが出てくる。その様子がそこかしこに映し出されます。そのどこにもガルシアがいる! こりゃもう大爆笑。でもって、こういうところがいかにデッドなのか、って思い知らされる。
バディ・ガイがくしくも「あんなことはないよ、ガルシアと一緒に演奏するなんてね」って言うけれど、ほんとにね。


ロックがラヴ&ピースだけでは成立できなくなる時代の寸前。
この特急列車はカナダを駆け抜けてったんだなあ。
レイルロードで疾走しているせいか、どのバンドも、ザ・バンドですらテンポが異常に早いのも、なんだか笑ってしまう。


90分があっという間です。


まずは来年正月第二弾映画としてシネセゾン渋谷でレイトショー公開だそう。
また大きな画面で見たいなあ。
でもって、試写会ではできなかった「yeah!」と拍手を思いっきりするんだ。