かもつぶ。

かものはしのつぶやきなので、かもつぶ。

闘うベスト10

ミステリー・チャンネルの2004年ベスト10を決める公開録画に行ってきたのでした。
書評家6人が、今年のベスト・ミステリはなんぞやと、丁々発止やりあうのでした。

大森望氏が日記にインフォメーション書いていたのを「行こうかな〜」って思ったようなわけで。ちょと遠い。船橋なのだった。んで。 メールしたら、
「終わった後の宴会だけくれば〜」………
それじゃ、盛り上がりに欠けるので、収録に行ったのであった。面白かったなあ。

ってなわけで。
久々に、香山二三郎氏、吉野仁氏、関口苑生氏と奥様、茶木則雄氏、そして初めましての杉江松恋氏、なんと2度目なのに覚えていてくださった豊崎由美姉様に、おあいしたのだった。ちょうどミステリ正統派系vsSF流れ系って感じ。でも大森さんの予言どおり、なーにが楽しいって、終わった後の飲み会でござんした。あー、今日も笑って飲んで休憩(寝)して飲んだのだった。

香山さんと吉野さんと関口夫妻とは、かれこれ15年くらいのおつきあいなのでした。2、3年続けて、12月の100万ドルの夜景を見に、ではなく、食い意地張った香港旅行に行ってたんでしたね。その後、時々おあいするも、何せジャンルが違うのでなかなかご無沙汰でございます。

いやー。恐いのはみなさん恐ろしく風貌が変わらん!
どういうことだ。
いやー。かくいうカモは、ちょっとウエストあたりの曲線が……ま、カモの場合も相変わらずなものがあるのだ。それは「貧乏!」。どだっ!


音楽連中とはまた違って、なんだか字面が見える気がする会話の飲み会だったな。文字の人たちの飲み会は久しぶりなので新鮮、というわけです。 いやー。おもしろいなあ。
まだ頭の中に文字がいっぱいでンマイこと日記になりまへん。


このベスト10の結果はいつ放送なんだろう。
ま、放送見逃しても「このミステリを読め!」でも発表されるとのことだったのだった。

お茶受け音楽

若い知人から、京都土産をいただいたんでした。
そもそも食い意地のはったカモが「京都の抹茶生チョコ食いてええ」といったがために、ちょうど東京遠征にくるところの若人が骨折りをしてくださった。
が。 抹茶生チョコ見あたらず。KIOSKで抹茶まんじゅうのようなものを買うてきてくらはった。ありがたや。 元来、抹茶好きなもんで、生チョコでなくとも嬉しや。


ところで。
くだんの生チョコは宇治のもんでした。なんたら久兵衛商店とか言うのだった。ありゃ絶品じゃあ。


はっ。いかんいかん。食い物に目をすっかり奪われてはイカン。食いもんと一緒にCDを3枚、いただいたのでした。 これがね、良かったんだ。
いや、食いもんもらったからほめてるわけじゃないぞー。
いただいたのは「風博士」と「細胞文学」と「カンガルーノート」という3つのグループのもので、どれも違った個性のもんでした。


「風博士」は1曲目、ついぷぷっと笑ってしまった。
ペンギン・カフェに日本語の歌ついてたらこんな感じだ、って。
なーんかね、歌や歌詞やメロディは繊細風な今の青年のものなんだけれど、音がどこかはみ出していて、大丈夫か?って思う音色がいたり。そのかわいらしさがいいんです。

細胞文学は、ウマイ。けれどなんだか、家にあったぞってなジャンクな楽器でロバート・ワイアットやってるみたいな(笑)。ちゃんとした楽器使ってるのに、なんででしょうね。それにしても音数すくなーい! 気持ちいー! いいんです。これで。隙間なんて開いてていいんだ。構成なんてABABCABじゃなくていいんだ。破片みたいなものでもいいんだ。いい空間だなあ。

で、カンガルーノート。
これまた志は「マジカル・ミステリー・ツアー」とか「サージャント・ペパーズ」なんだが、その辺の道具で演奏してるみたいな駄菓子な感じがお気に入りです。そうそう、駄菓子っぽいの。ポップなのにマイノリティでキッチュでちょっと毒な(笑)
かなりイイなあ。

この抹茶餅セット3枚組はすげーお得でしたねえ。


しかし。
京都っておもしろいなあ、とこのところ思ってます。
音楽シーンがね。
以前からヘンだったけれど、なんというか自由だな。
それと空間の心地良さが音楽の中で大事にされていて、それがとてもいいことだなあ、と思う。
だからこのところ出会った京都の音は、みんな音の向こうに風景を見つけることができるんだよね。

音の隙間って、自分をおいてこれる貴重な場所だからなあ。
おいしいお菓子とおいしい音楽、幸せこの上なしかもかもかものはし〜。

音楽家の死

楽家の死は、いつも思うのだけれども、その喪失感が浮き彫りになる気がする。

というのも、
たとえばそれがバンドのメンバーの一人だとするなら、演奏されたときにそこには「あるべきはずの音色」がないからで、それが一層哀しみをそそる。


12年前に篠田昌巳が亡くなったとき、コンポステラの音楽の中の篠田の音色のなさは筆舌に尽くしがたい喪失感だった。特に篠田のような独特な音色、まるで彼自身の言語のような音色の音楽は、より鮮やかにその不在を語る。


ところが。
これが何年かたつと、逆に時折、その存在を感じたりする。
たとえば何かを聴いていたり、ライヴを見ていたりして、いないはずの彼の音色が聞こえるような気がするときがあるのだ。不思議なもんだ。


今年、篠田は13回忌を迎える。
あの世に生まれて13回目の誕生日になる。
9月末に偶然、みりばやしみほ嬢にバッタリ会ったら、場所だけはおさえてあるものの、なんにも決まっていないという。なおかつ、仕事で長期不在とのこと。では、と、篠田の盟友、関島岳郎氏と中尾勘二氏に連絡だけはしておくよ、と言ったがために、なぜか手伝っている。1ケ月を切って、ようやくなんとなく何をやるか見えてきた。こんなことをやることになった。

篠田昌巳 13回目の誕生日

12月9日 
吉祥寺MANDALA-II
18時30分開場、19時開演

★出演予定
もりばやしみほ(hi-posi)
STRADA
杉林恭雄(くじら)
原マスミ
めいなCo.(張紅陽+浦山秀彦)
西内隊(ちんどん楽隊)
大熊亘千野秀一
近藤達郎  ほか(まだまだきそうで恐い)
そして篠田のコンポステラなどの映像

予定は未定。
はたしてちゃんとできるんだろうかね。
心配だあ。

34歳で死んだので、ドリンク代別で3400円という金額設定。 高いかなあ。
11月20日から店頭のみで前売り開始。 前売りも当日も料金は一緒なのだけれど、
定員になったら締め切るということで前売りを出してみる。 友人、知人と関係者も多くなるだろうから 入りきれないと困る。 すでに来てくれるという旧友、盟友、戦友もいる。行けないから祈ってくれているという友人たちもいる。
それにしても
いったいどれくらいの人がくるのか全然わからない。

なんだかいろんなことを思い出している。
なんにしてもあの音色にもう一度会いたいんだ。

ボーリング

若人の友人、現役女子短大生のタテイシが「ボーリング!」と言うので数人で出かけたのでした。いや、おもしろかったよ。久々だもん。昔打った衣笠、ちがう、昔とったキネヅカでござる。

どのあたりが昔とったキネヅカなのかといえば、溝掃除のうまさ。
もう、ボーリング場に貢献しまくってきました。

その謝礼は、といえば
腰痛。
正しくいえば背筋痛。つまりは筋肉痛ですなあ。
いかに背筋、使ってないかってことだよなあ。とほほ。

というわけで本日は安静にしとこう。
しかし。
なんで運動の後のビールはンマイのかねえ。

ほとらぴからっと忍ばずの池

ほとらもぴからも蛍のことだそうだ。
佳村萠と張紅陽の二人を最低限にして最大……何人だ?(笑)のユニットです。
佳村萠さんは映画「夢見るように眠りたい」で主演を演じた、女優さんでした。
現在は絵を描いていたり、音楽やったりしております。
この映画の頃に張紅陽と出会い、こうしてほとらぴからっをやっているわけです。
張紅陽はこまっちゃクレヅマーなんかにも参加してますが、最近よく見るのはやっぱりめいなCo.名義での映画音楽ですね。『GO』なんかそうです。


新宿にあるナジャという飲み屋にてライヴ。
ナジャは、唐十郎の紅テントで役者から入って後に音楽を作っている安保由夫さんのお店。 ナジャの土曜日と称して、土曜ごとに映画やったりライヴやったりしているようです。で、実は知らなかったんだが、すでにこのライヴも数回やっているそうで。 佐野史郎原マスミ林海象といったところが登場とのこと。 いいお店だなあ。
今回はそしてほとらぴからっだったというわけ。


ほとらの音楽はポップにしてしかし、13拍とかね、ヘンテコな拍子がフツーにあるんでおもしろい。ムリな変拍子ではなくて、音楽の気持ちと一緒にあるので、聞いている方はイヤじゃない。数えるとイヤだけれど(笑/ってことは演奏する人は大変?)、聞いてると心地よし。
しかし。
貴重なものも聞きました。
安保さんのテントや新宿梁山泊で作った劇中歌の数々。あははは。
ちなみに、安保さんの歌った状況劇場二都物語」は私のトラウマでござる。


それが「二都物語」だと知ったのはほんとに数年前だったのでした。カメラマンの井出情児さんと話していて、井出さんは元は役者、それもやはり紅テント初期のメンバーでもあるのでした。で、話してたら
「それ、「二都物語」だよ」と教えてくれたんでした。

まだ小学生。それも低学年のとき。ある日。母が
「上野のお池にお芝居、見に行こう」とのたもうたのでした。
上野公園。ボート乗り場の桟橋の先に、真四角なはしけが浮いてまして。それ、客席でした。


夕暮れとともにせむし男が登場。鐘を鳴らして歩きます。
すると。
それまでどこにいたのかわからない半裸の男たちが、池から机やら椅子やらタンスやらをかついで出てくるんでした。


正直言って、一桁の年頃の子供にはオカルト以外のなんでもありません。半泣き。あんな恐かったことはありませんって。だいたいこの人たち今までどこにいたの〜????ですよ。
「あー、それ開演前から池の中にいたんだよ」と井出さん。
げっ。やっぱりコワイ。

あのボート乗り場の岬のように出っ張った桟橋を挟んで
右と左とが二つの都。今でいう北と南。大陸のお話なんだそうで、そんなこと、その頃知らんで、わし。子供だもん。
んで。
夕べ、安保由夫さんが歌ったのを35年ぶりぐらいに聞いたのに、歌が記憶に残っていた〜こわかった〜ひぃいいい。

アングラはヤダ。と、子供心に思ったんでした。
が。
その数年後、母はまたしても言ったのでした。
「今日は青山にお芝居見に行くよ」
………イヤな予感。

行ってみれば予感的中。それは青山墓地だったんでした。
墓地の真ん中にテントがあって。あー、またこの人たちです。
コワイ。これまた半泣き。
おかげで最初のセリフ(だと思うが何せ記憶だけなんで違ってたらすいません)を覚えてます。

「僕はカッパになる。そう言ったきり兄は3年帰ってきません」

アングラはイヤだ。コワイ。
すっかりカモノハシのトラウマになってしまったんでした。
あー……。

お祭りに行く特急は車内もお祭り騒ぎさ

「フェスティバル・エクスプレス」を見に行ったんでした。

Yeah!
試写会場なのがツラかった。
YEAH!! ってなもんです。声、出てました。おさえてました。
アメリカの映画館だったら、ヤンヤ、ヤンヤの喝采ではなかろうか。
それぐらい、収録されてる演奏がいいんです。


1970年のカナダ。
カモもそうですが、ロック少年少女がこれまでザ・バンドの本やらジャニスの伝記やら読むと必ず出てきた電車で行ったフェスティバルの話。
あの映像が残っていたなんて!
それだけでファンとしては感無量です。
それが、なんとこんなにいい状態だったなんて! 奇跡だ。
1回じゃ、ファンなんで見切れません。
だって、映像のアチコチに演奏シーンがないのに「なんでいるんだ?」ってな顔がいて。
たとえばデラニー&ボニー。
たとえばインタビューにも登場するけれどエリック・アンダーソン。
一瞬、ライヴで映るエイモス・ギャレット。
あいや〜、フライング・ブリトーで歌ってんの、後々イーグルスじゃん。
あれ?マウンテンのギターいるぞ〜。
などなどなどなど。


やっぱりね、レイルロード・ムーヴィーだからね、
オープニングはデッドの「ケイシー・ジョーンズ」だね。
汽車の歌だものね。演奏じゃないんだけれど、もうこの1曲目で
「おっ、これ、いい映画だ」って分かってしまう。
だって、この曲持ってきただけで、作ったヤツが「わかってるなあ」ってなもんです。


しかし。
ほんっとにうれしい。
リック・ダンコとジャニスとガルシアとボブ・ウィアと並んで、ベロンベロンになりながら、それでもセッションしてる。寝ても覚めても酔ってもラリっても片手にギター、唇には歌。音楽ってこういう場所から新しいものが生まれてくるんだ。それがここに残ってる。


興味深いのはデッド。なるほど、もうこの後のあのアメリカを旅して回るスタイルが、彼等の中では確立されてるんだろうな。だから自信にあふれてる。ちょうど「ワーキンマンズ・デッド」の頃だしね。そしてジャニスはこの後、数カ月で亡くなるんだ。


ジャニスの歌は、息、できません。
やっぱり「テル・ママ」のあの咆哮の瞬間に、もう息とまります。心臓がバクバクする。スクリーンからボーカルの風圧がやってくる。この最後のバンド、いいバンドだったんだ。わりと好きだった。ジャニスの伝記映画のサントラで、彼らのヴァージョンの演奏とか入っていて、いいのがあったもの。


「車両ごとにカントリー、ブルース、ロックとやってた」みたいなコメントが出てくる。その様子がそこかしこに映し出されます。そのどこにもガルシアがいる! こりゃもう大爆笑。でもって、こういうところがいかにデッドなのか、って思い知らされる。
バディ・ガイがくしくも「あんなことはないよ、ガルシアと一緒に演奏するなんてね」って言うけれど、ほんとにね。


ロックがラヴ&ピースだけでは成立できなくなる時代の寸前。
この特急列車はカナダを駆け抜けてったんだなあ。
レイルロードで疾走しているせいか、どのバンドも、ザ・バンドですらテンポが異常に早いのも、なんだか笑ってしまう。


90分があっという間です。


まずは来年正月第二弾映画としてシネセゾン渋谷でレイトショー公開だそう。
また大きな画面で見たいなあ。
でもって、試写会ではできなかった「yeah!」と拍手を思いっきりするんだ。

下北ひなぎく団

ラ・カーニャにまたもや行くのであった。
一応、先月いっぱいが10周年なのだけれど、3日は若人の日だったのでした。これが良かったな。何が、って、ライヴはもちろんなんだけれども、このハミダシ分が新しいラ・カーニャの11年目のライヴ・スタートってのがいいなあ、と。

さて。
ライヴをやったのはハンバート・ハンバートという若いカップルとサポートメンバーのライヴ。
それと、きたはらいくちゃんという女の子のライヴ。

ハンバート・ハンバート
なんでだか20代半ばだというのに、細胞の中にフォスターが生きてる感じがする。どうしてこういう音楽になったのか、今度話聞いてみたいなあ、と思うのだけれども、初期PPMサイモン&ガーファンクルといったハモリ方を男女でするので、気持ちいいんだよなあ。女の子のノンビブラートのまっすぐな歌声が、どこまでも伸びて、これまたそういう音楽にいいんだよなあ。
きたはらいくちゃんは
ピアノで曲を作る女の子。ありがちなピアノソングライターという感じではなくて、もう少し、陰影のはっきりした立体的な歌を作る。なかなか良いです。まだまだ修行中の部分もあるけれど、いきなり人の深いところに飛び込んでくる面白さもある。少し変わってきたなあ、と思うのは、なんとビックリ、今日は『泣くかもしれない』をカヴァーしていたのだった。その原曲と彼女というのは正反対といってもいいような世界なんだけれどもなあ。よくカヴァーしたなあ。
「いい曲だから」と言ってたけれど、この歌をここまで自分の世界に持ってこれるとは正直驚きました。
なぜって、下田逸郎だからね。下田さんの歌、好きなものがすごく多いんだけれども、ほんとにキワのキワにある、濃い歌が多い。この曲もそうなんだよなあ。でも、こうアレンジできるんだあ、ってびっくり。

しかし! 最後。大笑い。アンコールでいきなりサポート・メンバーも全員呼んで、はじめたのが(ほんとに打ち合わせなかったようで、ステージ上で打ち合わせてました)なんと、『生活の柄』。
もう、爆笑です。なんで? なんでここで高田渡? そしてもう1曲が『プカプカ』。こりゃまたなんで? なんでさらに西岡恭蔵
それを懐メロでなく、彼らなりの「いい曲だなあ」という感性でやってくれるから、いいんだよなあ。ヘンなやつら。
なんかこのセッションが、ちょうどいいヘナチョコさ加減で、これがね、なんともいいんです。
ハンバート・ハンバートの歌に『ひなぎく』って歌があって、とても良かったんだけれども、なんとはなしに武蔵野タンポポ団ならぬ下北ひなぎく団、って感じしたぞ〜

歌は世につれ、世は歌につれ
なんて言うけれどね。
歌ってこうやって継がれていくんだなあ、と、しみじみ。ちょいと涙